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漆の歴史

2023-10-28T22:30
うるしの話
松田権六先生の話です。
漆の歴史では、乾漆は中国から伝来した (wikipedia) とありますが、最近の発掘品の発見により、日本が最古で発祥の地ではないかと考えられています。
蒔絵に関しては、P213には蒔絵の起源は日本で考案されたと記したが、中国新出土品を見て間違いであることが判ったと記載されています。残念なことに、これを覆すような日本新出土品はありません。
考古学は新発見があるとそれまでの常識が覆るし、また捏造も起こることがあります。
それでも、漆は日本古来の文化だと言えます。今の生活の中に溶け込んでいくようになれば、愛されて残ると信じたいです。
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乾漆の歴史

2023-09-23T17:30
木芯乾漆棺
馬王堆漢墓、から出土した棺です。 (wikipedia)
漢代(BC200)の墓葬群で夾紵胎で制作された副葬品が多く出土しています。 夾紵胎とは、いわゆる乾漆で、麻や絹を重ねて貼り合わせ素地を作ったものです。
中国ではこの時代に技法として確立されていました。同じ時代に朝鮮半島の楽浪郡の遺跡からも乾漆の器物が発見されています。土器や木材を胎にした製品はあるものの、乾漆はこれ以前の製品は発掘されていません。
BC7000年の北海道の乾漆製品、BC5000年の中国最古の漆製品、BC3000年の朝鮮半島最古の漆製品、紀元前200年の中国・朝鮮半島最古の乾漆製品が知られています。
現在のところ乾漆技法が日本発祥で、埋葬に使われていたということは大変意味のある事だと思います。

朱塗椀

2023-08-30T13:00
修復
東京国立博物館所蔵 朱漆椀 1391
内側と外側の色が違います。
外側の黒い部分は、朱塗りの上に付着した油膜です。使い終わった後、柔らかい布でよくふき取ったとしても、油分は残り、長い時間が経つと黒く見えるようになります。均一に仕上げても、年輪の凹んだ部分やよく触れる部分は、景色に変化が起こります。口縁は使い込まれて朱塗りがすり減り、黒く見えています。これは汚れではありません。中央にあるヒビは、どのような原因でできたのかはわかりません。全体を見ると、時代を経てきた風格みたいなものを感じます。
内側は修復されたものと思われます。漆の樹液の種類や顔料が昔と同じものでなければ、使い続けても外側の色と馴染むことはありません。器物の修復には品種改良していない漆樹が適しています。朱塗の修復は難易度は高く研究の余地がありそうです。

幻の世界遺産

2023-07-01T17:40
浄法寺御山地区
浄法寺御山地区
周辺には瀬戸内寂聴さんが住職を務めていた天台寺や、 コアスカ舘遺跡   土踏まずの丘  があり、縄文時代草創期から続く集落や祭祀場、土塁が残る地域です。
1964年にUNESCOが採択した文化遺産保護のための憲章であるローザンヌ憲章によると、「発掘された遺跡の保存」として埋め戻すことが奨励されています。地図上の黄色く囲われた場所は、かつて天台寺の駐車場でしたが、現在はスギの苗木が植えられて元に戻そうとされています。縄文時代草創期から続く複合遺跡のコアスカ舘遺跡も、駐車場の下にはきちんとした形で埋め戻したと当時の教育委員会担当者から聞きました。アスファルトの駐車場も自然な形に戻せるのであれば、何も復元などしなくても世界遺産の基準に合った遺跡になり、遺跡の追加登録も可能であると思います。 Wikipedia

植生

2023-06-06T17:40
浄法寺の森
白樺の木が生えていて、山地の林下にクマザサが群生しています。
シラカバの特徴は、落葉高木の広葉樹で、雪の積もる地域でも生育します。
クマザサ(ネマガリダケ)の特徴は、高さ 1 - 3メートルで、根元は豪雪地における雪の重みで曲がるといわれています。山の斜面を埋め尽くすほどの大群落をつくることが多いです。
浄法寺では漆の植栽地を選定する基準として、シラカバが群生している地域よりも低いところを選んでいます。又漆の植林をした後、苗木がクマザサよりも背が高くなるまでは下草刈りをしなければなりませんが、それ以降は特に手入れをすることなく漆の木が育つのを見守るそうです。
北東北のいたるところに漆の木が昔からあるのは自然なことのようです

普段使い

2023-04-30T17:40
普段使いの漆椀見本
朱のお椀は工房に来て買って下さった輪島地の子を使った椀。
黒は雑誌dancyuに掲載された後に髙島屋でご購入いただいた浄法寺漆100%の椀。
その二つがこの本に掲載されています。今工房にある見本と一緒に撮影しました。
お茶道具などで漆器の扱い方をきちんと覚えられた方であれば十分普段使いなのですが、「普通」という言葉は、とても幅が広いです。昨年はリュウマチでお椀が持ちづらくなった方のために取っ手がある漆椀を制作しました。
アシナガ蜂の巣と同じ技法の荒麻椀(あらそわん)。値段と制作時間には目をつぶり、どんな方でも普段に使えるような品質のお椀を目指しています。

漆種子とアシナガバチ

2023-03-25T15:00
アシナガ蜂
写真はアトリエにある私の骨壷と一緒に写った大麻と漆種子とアシナガ蜂です。
漆とアシナガバチは、それぞれ約1億年以上前に出現したと考えられてます。
漆の木が属する被子植物は、種子が外部の環境から保護され、乾燥や低温などの過酷な条件下でも生き残ることができます。また、花を持つことで、昆虫や他の動物を引き付け、受粉のプロセスを改善し植物の繁殖を促進する役割を果たしています。
一方、アシナガバチは、樹液と植物繊維で巣を作っていたことがわかっており、樹液が漆の場合には乾漆の起源になるとされています。
これらの情報を通じて、自然の中での生物間の関係性について学ぶことができ、生物の利用方法について示唆を与えてくれます。又、進化の過程で、生命の多様性や環境への適応力について深く理解することができます。

仏陀の教え

2023-02-23T16:00
戦争反対
お釈迦さまは生前、「汝、殺すなかれ、殺されるなかれ」とおっしゃっています。人を殺してもいけない、殺させてもいけない。つまり、戦争に反対することは、仏教では当たり前のことなんです。(本文より)
寂聴さんが特にいつも強くおっしゃっていたように感じます。
近代日本では、日中戦争から聖戦という語が多用されはじめ、仏教界においても、多くの仏教者が大乗仏教の精神から戦争を 聖戦  として肯定した。

『禅と戦争―禅仏教は戦争に協力したか―』光人社、2001年 

そのような経験も含めて寂聴さんがお釈迦さまの言葉を選ばれたように感じます。

価格

2023-01-17T16:00
岩手県浄法寺漆生産組合
価格改定の通知

国産漆だけで乾漆で器を作る

中国産漆は年々価格が下がっている
どうして国産、どうして漆じゃないといけないの?

漆の器で食事をすると美味しく感じるんです。
本当に良いですよ。

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