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東京国立博物館収蔵品:浄法寺

2022-09-13T16:00
土踏まず丘遺跡
土踏まづ丘と呼ばれている塚。
岩手県二戸市浄法寺町御山久保経塚出土の壷 。が東京国立博物館に収蔵されている。1920年(大正9年)に東京帝室博物館館長森林太郎(鴎外)から寄贈の感謝状が今でも地元の資料館に残っている。壺は5点ほどあり骨壷とみられているものもあります。火葬は、平安時代以降、皇族、貴族、僧侶など位の高い方々に広がっていきました。
経塚の手前すぐのコアスカ舘遺跡は、縄文時代草創期から室町時代までの複合遺跡です。土葬は、縄文時代から昭和のころまでこの地域でも行われていたそうです。
天台寺があるこの一帯は今も続く祭祀の場です。この事だけでも世界遺産にふさわしいと思います。

東京国立博物館美術品疎開:浄法寺

2022-08-04T17:00
旧十輪院宝蔵
東京国立博物館の法隆寺宝物館北側に設置されている「旧十輪院宝蔵」。
戦時中、「六窓庵」と共に浄法寺の小田島家と大森家の蔵に極秘に疎開していました。両家ともに生漆を商っていた家柄です。疎開は松田権六先生が東京芸大の教授時代の事で、第二次世界大戦がはじまった年に発行された「時代椀大観」に、浄法寺椀が異常に多く選ばれているのも重要な軍事物資の生産地であったためだと思います。
明治に入り西洋から灯油が輸入され始めて漆蝋が必要とされなくなり漆樹が激減。
日本軍が爆弾の起爆装置に生漆を使わなくなり激減。
文化財の修復のための技術として世界遺産に指定されかろうじて絶滅を免れる。
アシナガ蜂の巣ように自分が使う目的で作るのが平和的で本来の姿である気がする。

金型乾漆

2022-07-21T16:30
金型乾漆試作
前述の本で記載されていた、金型(真鍮ではなくステンレス)で制作したサンプル
下瀬火薬はピクリン酸(ウィキペディア) という物質で金属と反応すると危険です。ウルシはマガイモノはだめだとよく言われますが爆弾に使われていたことを思うとよくわかります。学校では教わらなかったです。全くの我流なので爆弾に実際使われていたものとは違うと思います。
漆玉は自画像彫刻 に使いました。パイプから抜けるように制作したのは、浄法寺文化会館のモニュメント を生かした新しい作品を作ろうとしたためです。発泡スチロール、木材、等いろいろと試しました。前回のブログで紹介した木型に和紙を張り込んで制作した作品が麻紙の乾漆椀 「あらそわん」 です。
このような技術は、平和的に利用してほしいです。

下瀬火薬

2022-06-17T16:30
下瀬火薬
国家の勢い: 技術の「坂の上の雲」モデル :薬師寺 泰蔵著 NTT出版
この本の中に当時の砲弾の制作工程が記載されている。一部抜粋すると「真鍮の型のまわりに和紙を重ねてはりつけ、乾かしてから、その和紙の筒を抜く。さらにその和紙の筒に何回も丁寧に漆を塗る。それだけの作業をしてから、筒に下瀬火薬を入れた。」
漆科の先生から戦前は漆技術は国家機密だったと聞いていたけど、このことだったのかと思った。以前、大分日田の大麻で写真のようなことをやってみた。9000年前に北海道から出土した漆の出土品と基本的には同じ素材と技法で、そのバリエーションの一つとして試作した。自分は下手なので短時間に量産するほどの技量はなく、試作で終わった。爆弾に使われていたとはびっくりです。
漆で生活に必要なものを自由に作れるというのは幸せなのかもしれない。

漆修復:北大路魯山人

2022-05-29T16:40
漆修復
北大路魯山人の徳利の漆継ぎ
魯山人の器は料理を盛り付けて見栄えがするように考えられています。麦漆金継ぎが主流ですが、使うことを考えるとやはり丈夫で長持ちする漆だけで接着するのがふさわしと思います。
欠けた断面まで漆を硬化させるために高温で焼付乾燥して接着させます。その後外側の接着面の色合わせです。乾きのいい漆は、塗った時の色と乾いた時の色が全く違うので色合わせが難しい。透明度が高い漆は、色合わせはしやすくてもなかなか乾いてくれない。納得できるまでということで納期を決めずに修理している。
縄文後期の国宝「合掌土偶」の修復はアスファルトを使っていました。現在は合成樹脂もあります。
色々ありますが器はやっぱり漆で継ぐのが一番気持ちいい。

私の好きな漆芸品

2022-04-29T16:40
乾漆鉢
𡑮鉢 : 東京国立博物館、法隆寺宝物館 重文 奈良時代・8世紀 ( e国宝:国立文化財機構 )
托鉢 : 古代インドの原始宗教の出家者の修行形態の一つ。所有欲を否定するために三衣一鉢(大・上・内の三枚の衣と、鉢1つ)の最低限の生活必需品しか所有を許されなかった。 ( ウィキペディア(Wikipedia) )
托鉢に使われたと思われる鉢。インドでは鉄製の鉢の事ですが、日本では漆塗りの鉢も認められています。「𡑮」とは麻布を漆で貼り重ねるという意味です。一つだけいいお椀を使い続けたいと思っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。この鉢のイメージが強いのでしょう。この鉢には蓮の花托の雰囲気があります。用と美が完璧に表現されていて好きです。
以前栃木県の野州麻で復刻したことがあります。塗箱に入れて墓に一緒に持って行こうと思っています。

写真:漆芸品の鑑賞基礎知識 著者 小松 大秀 (著), 加藤 寛 (著) 出版社 至文堂

作品「2011-03-11-14:46」

2022-03-11T14:46
No NUKES
東日本大震災から11年がたち、今もなお政府は原発を稼働続け海外にまで売り込んできた。 原発が標的にされてしまうのは早くから指摘されていたのに辞めない。
ウクライナではロシアから侵略されて、以前の日本が朝鮮半島や中国に侵略していった記憶とダブってくる。
瀬戸内寂聴さんが被災地に赴た際、予定の法話をやめて、とっさに集まった方々に肩をもんで差し上げた。
私は、この話が好きです。どうしていいのかわからない時にこんな行動がとれることがうらやましい。自分に何ができるのかわからなかった。でもこの作品の遺せて今ではよかったと思っている。1月のブログで使用した作業台 ( 2022blog )  朱色の作業台はこの作品に使用した素材で制作した。 ( 当時の様子 Ameba blog )
毎日仕事しているので表面が変化している。これも記憶

主夫

2022-02-24T21:20
洗い物
汁椀や飯椀よりも頻繁に使うコップ。
家族からも好評です。熱いお湯を注いだり、冷たい飲み物を入れて、一日で何度も繰り返し使います。 ズボラな私は毎回洗わずに、最後に夜になってから洗います。
今迄乾漆では、取っ手の部分が不安で制作しなかったんですが、ようやく納得できるモノが出来ました。 最近家族から制作のヒントをもらったので色々なタイプが出来そうです。今年また秋以降展示できるように制作しています。
家事を担当する方々に優しい漆器。
家族で料理や洗い物を当番制にしたりと、主夫をしていることが仕事にも生かされています。 ジョンレノンのまねをしてみたのですが、妻からはまだまだ合格点はもらえていません。娘からは「他の人よりもお父さんと話していると思うよ」と言ってもらい、まったく関係ないのですが何だかホッとしています。

"Give Me Some Truth"とうとう戦争が始まった。

普段使い

2022-01-23T16:50
箸
仕事始めは箸から。
カッターで竹を削ると麺を食べる時に使いやすい。スリ漆1回目です。何回も繰り返して、きれいな漆の塗面にしていきます。
今年は持ち手の部分のデザインと工程を新しく変更をしようと思っています。
前よりも丈夫に。
品質を上げる為に塗り方を変更するのでその分値段は高くなります。パット見たところではわからないのです。いままでの漆器に対する不信感からすんなりとはご購入して頂けません。単純なことの様ですが誠実に対応していくしかありません
大学で習ったことから離れて技法が我流に偏ると不安になります。
ただ我流だと思っていても授業で習ったことの延長だったりすると安心する自分がいます。
お椀もまだまだ工夫の余地があります。蜂のように塗る。
普段の暮らしに似合うシンプルな漆椀。極めたいですね。
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