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「あらそわん」

2026-07-04T20:00
世界遺産王立植物園キューの「クインレポート」
漆という素材に込めた祈り―「あらそわん」というコンセプト
大学で漆を学び始めた頃、私にとっての漆は、蒔絵や仏具といった文化的な香りが漂う、人体にやさしい天然の塗料でした。しかし学びを続ける中で、漆がかつて矢じりの接着剤として、さらには砲弾内部の塗料として軍事物資に転用されていたという歴史を知り、この素材に対して複雑で「嫌な素材」という感情を抱くようになりました。

浄法寺での気づいた歴史の影
岩手県浄法寺で暮らしていた頃、かつての戦争中に軍がすべての生漆を買い上げていたという事実を知りました。さらに、極東国際軍事裁判(東京裁判)で起訴された被告たちの出身地や本籍地を調べてみると、私がかつて住んだことのある福岡県、熊本県、大分県、岩手県、埼玉県などから多くの人物が名を連ねていることは、深い衝撃でした。

「あらそわん」の誕生
さいたまに移り住んだ後、大分県日田市で大麻の継承者が途絶えているという課題を知ります。文化庁の「伝統的工芸技術を支える選定保存技術」のホームページで調べていた際、「粗苧(あらそ)」という言葉に出会い、この言葉の響きから、私は「あらそわん(争わん)」というコンセプトを思いつきました。

漆と大麻、二つの素材に込めた願い
このコンセプトのもと制作したお椀には、二つの重要な素材を用いています。
一つは、世界遺産王立植物園キュー(Kew Gardens)の「クインレポート」にも、最高の樹液産地として記されている南部(現在の岩手県浄法寺)の漆。そしてもう一つは、文化庁の選定保存技術にも指定されている大分県の「粗苧(大麻)」です。
これら二つの素材を使い、お椀を制作することで、戦争を忌避し、日本国憲法第9条の理想を支持する私自身の思いを形にしたいと考えました。

漆の悠久の歴史と、平和への願いを込めたこのお椀。 制作の背景や詳細については、こちらをご覧ください。
渡辺博之漆部屋便り gallery-shop


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