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美術的価値

2021-12-01T09:45
樋上げ
うるし掻きの技術が世界無形遺産になりその保存会発足当時の思い出がよみがえります。 その頃、漆文化は大陸発祥で朝鮮半島から日本にもたらされた大陸伝来説が一般的で、 国産生漆の注文は減り、価格は韓国産の生漆よりも安い状況でした。
盛岡の岩山漆芸美術館に韓国の漆芸家の全龍福の1億円の漆パネルが設置されました。 この時に使用した浄法寺の生漆はたった3.75kg(1貫)。のちに補助金の不正使用が発覚し現在閉館中です。 岩山漆芸美術館は、画家 橋本八百二(1903-1979)が、資財を投じて建設した盛岡橋本美術館を引き継いだもの。美術館の価値も橋本八百二の作品と時代背景があってこそ保たれると思います。
写真作品は発表当時はこんなものと評価は低かったですが、日本の漆に対しての思い入れの深い作品です。
渡辺博之うるし部屋便り:Urushi:Works:樋上:Details

はちす

2021-11-03T18:00
浄法寺漆
今年の浄法寺漆が届きました。
樹液の匂いにつられて蜂がよく工房に入ってきました。 蜂が巣を作るためは、特に繊維と樹液の植物の種類は決まっていません。
浄法寺ではたまに漆で出来た巣に会うことがありました。見分け方は根元から巣を取った時に、取れるか、取れないかです。取れない場合は漆で作られた巣です。他の樹液ではすぐに剥がれるけれど漆の場合は全く取れないのです。
大変に勉強になる映像があります。
全国こども科学映像祭受賞作品(72)アシナガバチのくらし
巣には自然から大切な卵を守るために必要なことがあります。
今年はこのような気持ちになって作品作りが出来たらと思いました。

翻訳

2021-10-20T22:00
a lacquer legacy at kew
キューの王立植物園にある経済植物学コレクションについて解説しています。
19世紀半ばに日本が開国し、西洋から灯油が入ってきて幕末までの漆植林の大きな役割が終わったことには大変驚かせられました。
1867年から1896年まで日本での生活に捧げたクインの多くの事が語られています。明治初期、海外からの視点での日本の漆事情は広く知られてほしいと思います。
コピー用紙のほとんどが機械翻訳ですが,付箋が張っているクインレポートの生漆に関しての部分は、私が浄法寺に住んでいた経験をもとに翻訳できたと思います。

クインコレクション

2021-09-14T18:40
quin report
ジョンJクインが1867年から1882年の間でまとめられた日本の漆に関しての報告書です。
疑問点もありますが、大森俊三さんから教えてもらったことと合わせると品質の高い漆樹液の判断基準としては大変勉強になります。
現在の文化庁の生産目標2t。クインレポートには秋田、津軽、南部には樹齢100年から200年の木から樹液を採取と記録されている。

浄法寺町史によると 1653年(江戸時代:承応2年)南部藩の生漆生産量はが約1.6t。[南部藩の納漆合計が約700盃(830㎏)。漆の木の場合、当時五公五民であったため]時を経て1884年(明治17年)岩手県勧業博覧会、生漆出品量約750貫(2.8t)

クインコレクションがもっと再評価されても良いのではと思います。

世界遺産

2021-08-13T10:30
日本橋髙島屋
北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録されました
「遺跡群は世界史上まれな農耕を伴わない定住生活と、祭祀(さいし)も営む複雑な精神文化を示すとされ、世界文化遺産として国内最古」という主旨です
約9000年前、漆製品が祭祀(さいし)に使われていました。その後、仏教が伝来しても 漆は、とても重要な素材として受け継がれています
お盆には「おがら」(大麻の茎の芯)で迎え火をします。まだ身近にその習慣が残っています。

写真は昨年の日本橋高島屋での展覧会の様子
作業台の上に展示している作品は麻と漆で出来た自分自身の骨壷です

Plants+People2001 Royal Botanic Gardens, Kew

2021-07-23T17:10
展覧会
人間と植物の関係についての展覧会で世界中の植物資源の保護についての資料を提供しています。
Kewの漆コレクションについてAIの翻訳を使い調べていくといろんなことが判ります。このカタログには漆木について”The trees are native to China,”と表記されています。私の日本原産論など相手にもされないし自分自身も公に発表する自信はありませんでしたが今は資料もそろってきました。自然科学的にも矛盾していないことが最低条件です。 日本の植物学の学会でも認められなくても自分の原産論はArtの世界では発表し続けていきたいと思います。
今までのよりももっと使い易いのお椀が出来るように頑張らないと、そのための基礎研究ですから

ひと休み

2021-06-06T21:20
お菓子
お菓子を食べながらひと休み。下段のお菓子は浦和の菓匠花見の銘菓白鷺宝の季節の限定品。上の段は妻の手作りお菓子。(子鉢はネットショップで販売しています)。Shop
画集は故横尾龍彦氏。芸大の日本画出身でありながら枠に捉われない制作に魅力を感じます。世代的には平山先生や加山先生の頃です。今では日本画の抽象表現も普通になりましたが当時を思うと革新的な表現です。新しいことに挑戦をする。自分の表現を模索し続けるのが作家だと思います。
Bracketsがこの秋に使えなくなるのでV.S.Codeに変更。サーバーもGitに。HPの移行を行い、自分が死んでも作品の価値を残せる場所になってくれるといいと思っています。

オーセンティシティー(真正性)

2021-03-01T20:55
皮剥ぎ鎌
Garden Kew Quin collection 漆掻き道具のコレクション。樹皮剥ぎの大きな鎌があります。
前項、新聞記事掲載の漆木。表面を皮剥ぎ鎌で平らにならした跡がある。樹木の特徴と道具が、世界遺産の審査基準のオーセンティシティー【authenticity】を満たすうえで大変大事なことの様に思います。
現在は経済的な理由で品種改良された木や異種なども混ざり、日本うるし掻き技術保存会が認定を受けたことはとても意義のあることです。

世界の記憶(未承認)

2021-02-15T20:55
分布図
左:Garden Kew Quin collection 漆木の分布図。英国函館領事館による日本の漆産業報告書(1882年)の中には当時の漆天然木や漆掻きの様子の記述もある。後世に伝えていきたい資料です。
右:新聞記事は1995年に伐採した樹齢100年の漆木。1895年頃秋田県能代市で発芽したと考えると面白い。 1882年の分布図からこの地域は当時漆の天然木地域であることがわかる。日本在来固有種の貴重な漆の木です。

世界無形文化遺産

2021-01-11T20:55
合鹿椀
文化庁の選定技術保存の日本産漆生産・精製(保持団体:日本文化財漆協会と日本うるし掻き技術保存会)がユネスコの世界無形文化遺産に認定されました。 ウルシ苗栽培では多少の貢献は出来たのではないかと思っています。 縄文時代は漆塗り技術の草創期。北海道東北の縄文遺跡群の世界遺産に期待したいです。
このお椀は、石川県立美術館でお椀展に出品した作品です。木地は水上隆志さん、日本文化財漆協会で頒布した浄法寺の植栽地で採取された漆だけで制作しました。 当時はまだすべて日本産漆で作品を制作するとは思っていませんでした。
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